北野唯我さん著「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法」を読みました。
ストーリー風ですごく読みやすいんですけど「今の仕事に悩みを抱える人」やタイトル通り「転職しようか悩んだことがある人」にぴったりの本です。
ようは転職したい原因を突き止めさせてくれる本です
転職ってめちゃくちゃ思い悩んで挙句の果てに引き伸ばしになっているパターン多くないですか?まあ私なんですけど。
転職したいけど今ひとつもう一歩が出せない、辞めたい要因はいくつもあるけど確固たるものはない。そういう人に対して「給料」「労働環境」以外で転職を後押しする本です。他にも転職エージェントとのやりとりについてや、それ以外での転職活動のススメ、仕事そのものへの向き合い方などが書かれています。
物語仕立てで、業績が下がり続ける会社で転職を悩む青野とコンサルタントの黒岩というふたりの男を軸に物語が進んでいきます。青野が転職についてなにもノウハウのない主人公なので「転職したい!とは思ったけど何から考えていいかさっぱり」という人でもたいへん読みやすいです。
転職に大事なのはマーケットバリューと転職先の見極め方
著書の中には頻繁に「マーケットバリュー(市場価値)」という言葉が出てきます。
転職におけるマーケットバリューは技術資産(専門性と経験)×人的資産(人脈)×業界の生産性。これを箱状の図式で表し、箱が大きさは給料の期待値になります。
特にマーケットバリューは業界の生産性にもっとも大きく影響を受けます。例えば「特に才能はないけど給料が高い人」というのは業界の生産性が飛び抜けて高い箱になっているというわけです。就活の時点で勝った人ですね。
この技術資産や人的資産もない人が転職をする時に必須の条件は業界の生産性が上向き(あるいは既に上を向いている)であることだと言います。たしかに下向きの業界に転職しても技術資産が伸びるような仕事を与えられるかは怪しいですね。
そして、マーケットバリューの高め方は20代は専門性、30代は経験、40代は人脈でキャリアを作れと書いてあります。特に女性の場合、結婚・出産で一度仕事を辞めて復帰を目指す場合には専門性が必須なのだとか。確かに子供ができる前に誰でもできる仕事しかしたことない人だと復帰しても簡単な職種にしか就けませんが、専門性があればその専門でのキャリアが明るいです。
ここで気になったのは「専門性がなければ打席は回ってこない」という言葉です。専門性のあるプロジェクト(経験)があったとして、まったく無知な素人を入れるよりは専門性のある素人を選びますもんね。必ずしも与えられなければ仕事ができない、というわけではありませんが上司の裁量によって部下の仕事が決まるのがほとんどなので、経験をするための専門性は大事ですよね~~~。
これだけでも転職の目標が変わってきますよね。20代の転職の理由は専門性を高められる場所でいいわけですが、30代だと専門性をもって経験を詰める場所、40代だと専門性と経験を武器にして人脈を広げられる場所、ということになる。30代で専門性を高めたいって思う転職は遅いのかな~~~って感じですね。転職するなら早いほうがいいというのが分かります。
人間の99%はどんな状態でありたいかを重視するbeing型
人間はやりたい「こと」を重視するtodo型と、どんな「状態」でいたいかを重視するbeing型で分かれるそうです。そして99%がbeing型です。
よく「やりたいこと」について考えてしまいがちですが、やりたいことが見つからないからといって悲観する必要はないらしいです。ていうかほとんどの人には「やりたいこと」は必要なく、「ある程度やりたいこと」ぐらいでいいらしいです。
明確にやりたいことがある人のほうが稀な存在なので、自分をtodo型だと思い込んで「やりたいこと」を探すよりも、being型であると認識して「どんな状態でありたいか」を考えたほうがつまずきが少なさそうですね。
「どんな状態で仕事をしたいか」を考えると、そりゃ私としては「楽しい」ほうがよくって、その中を深掘りすると「現状維持よりは前進したい」「クリエイティブに触れていたい」などかなり抽象的です(笑)でも「やりたいこと」を考えるよりかは遥かに楽です。やりたいことって重いんですよね。これは私がbeing型であるという証拠ですかね。
これは本当にいい発見でした。明確に言葉で書かれているのは初めて見た。これは仕事以外にも共通する考え方かな、と思います。仕事だけじゃなくこれからの人生にも生かせる言葉です。
転職を阻害するのは見栄か恐怖
一番心打たれたのがこの言葉!!!「転職を阻害するのは見栄か恐怖」いやまったくその通りなんじゃないかな。転職は誰だって怖い。今のキャリアを失うわけだから周囲への見栄もなくなる。それどころかこの日本においては「転職は悪」だと思われているからむしろマイナスだったりもする。
まさしくこの本が「見栄か恐怖」を破壊する本です。今の会社で活躍できなかったとしても別の場所で輝ける可能性がある人はたくさんいる。という言葉でちょっと気持ちが楽になります。この本を読んでいると、終身雇用というのも見栄なんじゃないかなと思います。いやむしろ日本社会に蔓延る呪いに近いかもしれない。
転職が失敗かどうかは選択した後でないと分からない。ちょっと、というかかなり勇気の出る本でした。アマゾンレビューが高評価まみれなのもガチな気がする。転職という言葉を一度でも頭に思い浮かべたことのある人はぜひご一読ください。
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